衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
2007.06.04

ブルームバーグインタビュー
経済成長引き出す具体的政策アピール

6月7日(ブルームバーグ):根本匠首相補佐官はブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、政府が今月中に取りまとめる「骨太の方針2007」の主課題について「経済成長力の強化に向けた戦略を打ち出すことが一番大事だ」との認識を示したうえで、同氏が中心となって先月とりまとめた「アジア・ゲートウェイ構想」が経済成長の実現に向けた「大きな柱」になるとの見方を示した。インタビューは4日に行った。

また、同構想をはじめ、すでに政府が打ち出している「経済成長戦略大綱」や「長期戦略指針『イノベーション25』」も合わせて経済成長へ向けた道筋を分かりやすく説明する必要性を指摘。年金の記録漏れ問題や松岡利勝前農水相の自殺にともなう「政治とカネ」問題の再燃によって安倍晋三政権の支持率が低下する中、参院選に向けて中長期的に日本経済の成長力を引き出す具体的な政策を国民に訴える必要性を示した。

航空自由化に乗り遅れるな

構想は空港容量に制限がある首都圏の空港を除く関西・中部の国際空港を念頭にアジア各国との間で路線や便数の制約を撤廃する航空協定の2国間交渉を推進する航空自由化(アジア・オープンスカイ)が柱。アジア域内で国際航空市場の自由化が加速しており、乗り遅れれば日本の経済的孤立化をもたらすとの危機感が背景にある。このほか、日本の国際金融センター化を目指し、企業内容の英文開示を1年以内に行うなどとしている。

根本氏は「人、モノ、カネ、情報の流れを通じて日本が世界とアジアの架け橋となるために最も基本的なインフラは空港。だからこそ航空の自由化を打ち出した。米国や欧州連合(EU)も航空自由化し、競争時代を迎えている。日本が今までのやり方をやっていたら遅れる」と、自由化の重要性を指摘。容量が満杯となっている羽田空港でも、夜間の国際便利用や北京オリンピック期間中の北京へのチャーター便の就航に意欲をみせる。

根本氏は日本の国際金融センター化についても「金融ビックバンから10年たち、日本は国際金融センターを掲げてきたが、ロンドンのシティー(金融街)が実施したランキング調査ではまだ9番目。制度はかなり改革したが、まだこれからだ。やはり内向きの国ではなかったか。新しい開かれた国になればもっと活力のある国になれる」と強調する。

そのうえで「金融市場の活性化が日本の経済成長につながる。シティーは英国の税収の7割を稼いでいる。金融は資金の流れだけではなく情報もともなう。1年以内に英文開示を認め、アジアの情報が何でも分かるようにすれば魅力的な金融市場になる」と述べ、日本が市場活性化に早急に着手することでアジアの金融資本市場の発展を支えていく必要性を訴える。

経済成長の実現目指し道筋示す

一方で、根本氏は安倍政権の経済政策が見えにくいとの指摘に対し、「昨年の経済成長戦略に続いて今年も新経済成長戦略(改訂版)を骨太の方針に盛り込む。(技術革新に向け中長期的に取り組む政策を示した)『イノベーション25』も含め、経済政策の中身はまとめている。経済成長の実現に向けた1つの道筋を分かりやすくきちんと伝えることも必要だ」と述べ、一貫した経済政策の取り組みをアピールする重要性を示した。

また、経済成長戦略を明示的に打ち出した安倍政権は『所得倍増計画』を掲げた池田政権以来としたうえで、「アジアの発展を支え、日本とアジアの人やモノの交流が活発になればお互いに成長できる。構想は日本の経済成長につながる。安倍政権はこれからの100年を見据えた政策を具体的につくりあげていく創造と成長の政権だ」と自信をのぞかせた。

参院選に向け政策で実績

着々と進む経済政策の策定とは裏腹に、安倍政権は社会保険庁の年金記録漏れ問題や松岡前農水相自殺の余波を受け、内閣支持率が政権発足以来最低の30%台に落ち込んでいる。根本氏は「年金についてはきちんと説明して国民から理解を得なければならない。1997年の基礎年金番号の導入以降、2億口あった年金番号の統合作業が途中段階にある。5000万人が年金をもらえないということではない」と述べ、冷静な受け止めを求めた。

さらに「年金問題でいたずらに不安をあおり立てる必要はない。社会保障の給付と負担の問題も、日本が強い経済をつくり上げることで負担感を吸収することができる。それが経済財政の健全化にもつながる」と述べ、力強い経済成長が社会保障の改善にもつながるとの見方を示した。

『政治とカネ』の問題についても、政治資金管理団体に領収書の添付義務を課した政治資金規正法改正案が今国会で成立する見通しだ。根本氏は「むしろ今、大事なのは日本経済が失われた15年からようやく復活した安倍政権下で、少子高齢化を迎えた日本を活力のある安全で安心な国にする事。国民やそれぞれの企業、地域の持っている潜在的な可能性を引き出す事だ」と述べ、中長期的な視点での政策運営の重要性を重ねて強調。

そのうえで「安倍政権は本格的に政策に取り組む王道を歩む政権。政策で実績をあげて国民に丁寧に説明して理解してもらう。それによって支持率の回復にもつながり、参院選を闘うにあたって政策をアピールすることもできる」と述べ、今年7月の参院選に向けて「骨太の方針」をはじめとした政権の前向きな経済政策運営を訴える考えを示した。