衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
掲載 : 「りぶる」1月号
2004.11.17

りぶる新春トーク

歌手 水前寺 清子
衆議院議員 根本 匠(自民党広報本部長)

新しい年が、希望にあふれ、喜びに満ちた1年であってほしい。それはみんなの願いです。では、そのために――立党50年を迎える自由民主党に、いま求められているものは何か、そして私たち一人ひとりは、何を、どうしたらよいのでしょうか。人生の応援歌を歌い続ける歌手の水前寺清子さんと、自由民主党広報本部長の根本匠衆議院議員が、決意も新たに、平成17年の抱負と夢を語ってくださいました。水前寺さんは「元気」を、根本本部長は「ふるさと愛」をキーワードに、皆さんの背中をポーンと押して応援してくれています。

根本匠:

本日はお忙しいところをおいでいただき有り難うございます。

水前寺
清子:

こちらこそ。長年、芸能界におりますけれども、政治家の方と触れ合う機会はあまりありませんので、とてもうれしく思っています。

政治家と歌手、それぞれに役割が

根本:

今年は自由民主党は立党50年です。日本の復興発展に果たした役割、そして責任政党としての歩みを振り返りながら、新たなスタートの年にしたいと考えています。広報本部長としては戦略的な広報にするということで、党改革、あるいは政策の中身を含めて、一段レベルアップした広報活動を進めていきたいと思っています。一人の政治家としては、私も当選して12年目になるのですが、オールラウンド・プレイヤーとして、あらゆる政策に果敢にチャレンジをする年にしたいと思っております。

水前寺さんは国際的な活動や福祉的施設をつくることなど、常に挑戦し、実現してきていらっしゃいますが、あらためて新しい年の抱負をお聞かせください。

水前寺:

平成16年はいろいろ災害もございました。新しい年は、もし何かあったときには誰かが手を差し伸べてくれる、皆がそういう気持ちを持てるような温かさがある年になればいいなと思っています。私は歌うことしかできないんです。でも「歌を聞いて慰めになった」とか「頑張ることができた」とか、お一人でもそういう方がいらっしゃればうれしいですね。

根本:

水害や地震、大変な災害でしたから、国をあげて復興復旧に全力をあげてきました。でも、歌を通して励まされて元気が出るとか、政治あるいは政策だけでは対応しきれない部分があるんですね。水前寺さんの歌を聞いて元気になる、そういうものって本当に大事だと思うんです。

水前寺:

でも、大変なとき、歌なんか聞いてられるかという時期もあります。それぞれのその場所でできる範囲で、少しお役に立てればいいなと思っております。

ところで、先生はたしかうちの主人と一緒で昭和26年生まれだそうですね。

根本:

26年3月です。

水前寺:

ウサギさんですよね。うちの主人もそうなんです。

根本:

実はそうなんですよ(笑)。

水前寺:

きょうはトシが主人と一緒だって分かってたもんですから、非常にリラックスしてまして、うちの父ちゃんとしゃべってるようにしゃべればいいんだなと思ってきました(笑)。でも、政治家って本当に大変なお仕事ですね。全国民が一言一言に注目してますしね。もう少しおおらかになってもいいような気がするんですけど。

根本:

特に総理は、自分の思いを素直に語った言葉がいろんなとらえられ方をしますから、これはなかなか大変だなと思っています。

水前寺:

もう少しみんなが、良いことは良いとほめ合うことが必要ですね。良いと思ったことにはみんなで協力しあって進むようにしていただきたいと、私たち国民は願っているんです。

根本:

改革は進んでいるのですよ。是は是、非は非でいかなければ。改革は進んでいるのに、何も進んでいないという批判だけでは、いたずらな政治不信だけを招くようなことになってしまいます。

水前寺:

賛成、反対の議論は大いにやる。しかし、決まったことに関しては皆で力を合わせる。「賛成です。でも、この部分は」という意見を聞きたい、そういう時期だと思うんですよね。

根本:

政治はもっとおおらかにいきたい。ただし、政治というのは説明責任ですから、どんな政策でもきちんと説明する責任がある。政治家は説明する力が求められています。残念なのは、政治が芸能、ワイドショー的に取り上げられると、どうしても本質が見えなくなって面白おかしくなっちゃうんですね。

水前寺:

何でも言うのが言論の自由ではありません。言うときはしっかり考えて、自分の言葉に責任を持つということを国民も勉強しなきゃいけないですね。

お年寄りが楽しく集える施設を

根本:

みんなが夢を持ってその夢を実現する――政治というのは、みんなの夢を実現するために頑張るということが大きな務めですけれども、水前寺さんを拝見していますと、自分の夢を持って、どんどん実現している。

水前寺:

私は若いころは不言実行が格好いいと思ってました。でも、40歳代になったとき、もしかして不言実行はずるいんじゃないかなと思ったんです。できたときに「ずっと考えてました」とか何でも言えるわけですもの。だから、これからは有言実行にしよう。言ったことは、どんなに時間がかかってもそれに向かって頑張る。できなくても、頑張ってる姿を見せたいというふうに変わったんです。できないとカッコ悪いんで、トシも考えずに頑張っておりますけれども(笑)。でも、夢を言っちゃったほうがそれに近づくのは早いかもしれない。

根本:

政治も有言実行なんですよね。水前寺さんのように、夢を語って実行して実現する。そういう前向きの精神を、もっと見習わなければなりませんね。

水前寺:

私たちは、ある意味では自分が頑張ればというところもある。でも、政治家は「みんなの意見を聞いて」ですから大変だと思います。でも「そうだ」と思ったことはみんなで後押しをして、いいことは進めることが一番必要ですよね。

根本:

自民党は責任政党で、ものをまとめる立場にありますから非常に大変です。例えば高齢化への対応ですが、この10年、国としてもずいぶんやってきた。最初は「ゴールドプラン」をつくって、特別養護老人ホームに全国でベッド数をどれだけ用意するかとか、具体的な数量目標を明示して進めてきた。介護保険制度は5年前、私が厚生政務次官の時に導入しました。日本は世界一の速さで高齢化が進んでますが、ギリギリ間に合ったなという思いですね。

介護保険制度ができたもんですから今は多様な介護サービスが出てきていますし、水前寺さんにも大きな役割を担っていただいています。日本の高齢者の皆さんにとっては、介護保険制度を契機に非常に厚みのある福祉になりました。世界的にも日本は先進国だと思います。それから、少子化対応です。いかに夢をもって子どもを産み、育てやすい環境をつくるか。少子化対策はこの7、8年取り組んできましたけれども、これからさらに充実しなければいけないと思っています。

水前寺:

少子化ということでは「お仕事をやめろ」とか「家庭に入れ」ということじゃないところで、何か親子関係というものを考えていければいいなと思っています。私、どちらかというと高齢者の問題により関心を持っているんですが、確かに素晴らしい施設もいっぱいあるんですけれども、例えば、入所を待っているお年寄りが100人いらっしゃるけれども2人しか入れない。私が考えていることは、例えば広い土地があったり何にも利用してないところがあったら、そこに皆が集える、おじいちゃん、おばあちゃんたちがいつでもそこで遊んで暮らせるような、そういう施設がいっぱいできたらいいなということです。

根本:

水前寺さんは熊本にケアハウスをつくりましたよね。それはどういうお気持ちからっだったのでしょうか。

水前寺:

うちの後援会の方は全部と言っていいほど女性で、独身の方が多いんです。でも、お歳を取るとだんだん勤めるところは少なくなる。それで、応援してくださる後援会の方に何とか働く場所がないかなと思ったんですね。だから、ケアハウスをつくって、そこに入所していただくのではなく働く場所、職場にしていただきたかったんです。それがまず一つ。

もう一つは、うちの両親のことがありました。両親は化粧品店をやってまして、デビューしてから週刊誌で見て知ったんですけど、夜逃げして東京に出て来たんですね。父は16年間、母が8年間寝たきりでしたが「死ぬ前にもう一度熊本に帰りたい」と言っていました。私にしてみれば「夜逃げした熊本にどうやって帰してあげようか」ですよね。本当に俗っぽい話なんですけれども、これが本当の理由なんです。もしも、娘の私がケアハウスを作って熊本の人に少しでも喜んでいただけたら、もしかしたら夜逃げした両親が、大いばりで大手を振って熊本に帰れるんではないかという気持ちがございました。両親は亡くなっていますけど、きっと大手を振って帰っているんじゃないかなと私は信じています。

根本:

心にしみる良いお話をうかがうことができました。ご両親は喜んでますよね。

懐かしい路地が残る故郷に

水前寺:

私って故郷への思いがとても強いんです。それはイコール日本の国が好きなわけですから、その日本が素敵な国であってほしい、そのなかでも故郷が一番という誇りを、皆が持てるようにしてもらいたいと、そういうとこに行き着くんですけどね。

根本:

故郷を愛する気持ちを、これからの子どもたちには持ってもらいたいですね。

水前寺:

先生にお願いしたいのは、きれいになって新しくなるのもいいんですけど、歴史を残して新しいものもあるということですね。何十年かたって帰っても「あっ、ここ見覚えがある」っていう街であってほしい。ちょいと路地に入るとちっちゃいころ遊んだところがあって、そういう国にしてもらいたいなと。

根本:

歴史と伝統が残っている、そういうことから故郷意識が高まるんですね。今、自民党でも地域再生、地域を元気にするということを大きな政策の柱にしているんですが、日本全国が地域の資源を活かしながら、それぞれ特色を持った地域づくりを進めて、それぞれの人に故郷を大事にしてもらう。これが基本だと思います。

水前寺:

もう一つ、ぜひ先生にお願いしたいのは、そういう故郷で、伝統芸能なり、伝承民俗なりに取り組んでいる子どもたちを、もっともっと取り上げてあげて全国発信をうんと多くしていただきたいんです。そうすると子どもたちも、全国の人が見つめてるってことで、夢や目標、希望を持つ。それが、自分たちの故郷を大事にし、伝統を守ってくれることにつながるんじゃないでしょうか。

根本:

私の地元でも昔から受け継がれた歌舞伎やお神楽が残っていて、子どもたちも参加しています。子どもは本来いろいろ興味、関心を持ってますから、いろんなことをやらせて自信をもたせる。それは大事ですね。

水前寺:

この前、小学校の全国歌唱コンクールの司会をやらしてもらって、熊本からは山鹿市の小学校が代表に選ばれて来ていました。素敵だなと思ったのは、1位にならなくて泣いた子がいたんです。悔し涙です。あの悔し涙は、来年またきっと日本一を目指してくるでしょう。今の世の中、順位をつけるのはいけないみたいになってます。平等はいいんだけれども、でもやっぱりズバ抜けてこれはいいよというのはほめてあげるべきなんです。

根本:

そうですね。運動会で、皆で一緒にゴールするなんて運動会じゃないですよね。良い意味での競い合いというのは、人間の力を引き出します。子どもはいろんな才能をそれぞれ持っているのですから。それに、やって自信をつけるということは大事ですよ、子どもが伸びていくには。

自民党も三六五歩のマーチで

根本:

ほかにも、自民党への要望や期待することをお聞かせくださいませんか。

水前寺:

今までお話したことが、全部要望です(笑)。

根本:

自民党は政権党ですから、マスコミはどうしても批判的に書くわけですね。それはいいんです、健全な批判というのは。今、三位一体や郵政改革に取り組んでいますけれども、党内で侃侃諤諤の議論をしてる。ところが新聞を読むと「族議員が抵抗」とか書いてあって「自民党は何やってるんだ」と思われちゃうんですね。だから、私も広報本部長としては、政治家が真面目に汗を流してる姿、そういう部分もアピールしていきたいなと思ってるんです。

水前寺:

でも、それはどの世界も同じで、例えば私たちの職業の人の中に、悪いことをした人がいたとしますよ。そのことがわかると、私たちがみんなそういうふうに思われる。腹が立ちますよね。

根本:

いいとこはほめてもらいたいと思います。

水前寺:

そう、子どもと一緒(笑)。やっぱり1等賞を取れるようにほめなきゃいけない。ほめるとこから始まんないと、怒るばっかりじゃいけないです。

根本:

水前寺さんと話してると気持ちが明るくなります。

水前寺:

あ、そうですか(笑)。それは結構でした。先生たちみたいに大変なとこにいないからこういうふうに言えるわけです。でも、分かってる人間も半分以上いるのですから、ぜひ頑張っていただいきたいと思います。

根本:

自民党も、私も、水前寺さんの期待に応えられるように頑張ります。

水前寺:

平成17年が終わるころに「あのときの対談は何だったんですか」って言われないよう(笑)。

根本:

この「三百六十五歩のマーチ」も非常に元気が出ますよね。歌詞も非常にいいですね。

水前寺:

3歩進む日もあれば、2歩下がる日もあるんです。改革もそう、1日で365歩進もうとするのは無理です。1日1歩でよろしいと思います。

根本:

「三百六十五歩のマーチの自民党」、いいですね(笑)。

水前寺:

ぜひ進んだり下がったりしながらも1年365日1個ずつ。人間なんて日に1個もいいことないかもしんないけど、1個ありゃ上等ですよね。そのぐらいの気持ちがいいですね。「自民党はやれる」と思っているからみんな文句も言いますけど。

根本:

叱咤激励ですね。

水前寺:

そうです。ちゃんと応援してるんですから、頑張ってぜひ、ひとつ次の年の正月号もカッコよく飾りたいですよね(笑)。

根本:

きょうはありがとうございました。

水前寺:

失礼なことばかり申し上げました。先生が少し年下なもんですから、つい(笑)。