衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
掲載 : 住宅産業新聞
2008.6.25

新需要創造へ 内需拡大策提示 雇用創出等で若者に夢を

内需拡大を狙いとした「日本の活力創造総合戦略」が公表(10日)されました。その経緯と骨子からお話し願います。

根本 谷垣禎一政務調査会長直轄の「日本の活力創造特命委員会」の座長として、私が中間報告という形でまとめました。これに深堀りが必要であれば、それを加えて最終とりまとめとなります。この総合戦略のねらいは、内外に向けて内需拡大の戦略的な政策を提示するという点にあります。

これまで内需拡大というと公共投資、住宅投資、減税という脈略になっていました。従来型の枠組みでは限界があり、それらを超えて新しい需要を創出するという視点での内需拡大策、つまり「新需要創出型内需拡大策」を立案しようというものです。その視点は2つあります。1つは、日本の強みや眠っている力を生かすこと、もう1つは、これまで捉えきれていない新時代のニーズをつかむということです。それらにより新たな需要を創り、わが国の成長力を引き上げ、活力を創造しようというものです。

「総合戦略」のサブタイトルは「若者に夢を・日本に希望を、日本の可能性に挑戦」というものです。先に「高齢者の『安心・活力』を強化するための取組」(5月30日付)がまとめられましたが、今回の総合戦略は若者向けという位置づけのもので、両者をセットにして日本の活力を強化していこうという計画です。

この総合戦略によって、新たな雇用を創出し若者に夢を与え、地域を支える様々な産業に対する新たな内需を拡大し、日本全体に希望の道を示す、そういう趣意です。この内容は「骨太の方針」にも反映させたいと考えています。

今、農業政策を産業政策として考えると同時に、日本には豊かな自然や田園が残っているので地域政策としての農村政策を考える必要がある。産業としての農業政策は儲かる農業を目指す。キーワードは「安全・安心・高品質」です。そして、地域政策としての農村政策を考えると、「二地域居住」も出てきますし、「都市と農村の交流・対流」も出てきます。

内需拡大策の具体的な内容は。。

根本 そのポイントは、新需要創出・成長力引き上げのための5つの突破口として示しています。第1の柱は、「環境技術先進立国戦略」です。特に、環境に関して課題解決先進国となるべく、技術革新と事業化を集中的に支援し、世界一のクリーンエネルギー産業を創っていくというものです。

地球環境問題は21世紀の人類にとって最も深刻な課題の一つであり、環境技術に対する需要が国内外で急増していきます。環境制約をピンチと捉えるのではなく、環境・省エネ産業、クリーンエネルギー産業の発展のチャンスとして前向きに捉える必要があります。わが国は、先進原子力発電、次世代自動車、革新的太陽光発電など世界一の先端技術を多く持っています。国内外の需要を積極的に創出・獲得することで、世界的な課題克服への貢献と経済成長との同時達成をめざすという考えです。

住宅関連では「環境にやさしい住宅の日本型モデルの発信」が盛り込まれています。住宅はライフスタイルのあり方に最も大きな影響を与えるものの一つであり、環境にやさしい住宅の日本のモデル、エコハウスを日本発で発信していこうという内容です。

わが国は南北に長く、亜寒帯から亜熱帯までの多様な気候を有しており、それを踏まえたモデルを策定します。北海道は寒冷地対応、本州の大都市はヒートアイランド対策、九州・沖縄は通気性の良さを追求するなど、地域ごとの気象にあった住宅モデル作りを進め、類似の環境にあるアジア、世界に発信していきます。まさに、この点は日本の強みですね。また、省エネ家電やヒートポンプなど住宅関連機器の環境へのやさしさを「見える化」する仕組みづくり、エコハウスの普及を図っていきます。

2つ目の柱は「メードインジャパン拡大戦略」です。これまでメードインジャパンというと自動車などの製造業がメインでした。これからはファッションとか健康とかのサービス分野や農産物などの内需型産業の新たな振興をめざすわけです。

3つ目の柱は「新世代資源戦略」です。今、資源や食料価格が高騰しています。これは経済にとって大きなリスクですが、ピンチをチャンスに切り替えていこうとする戦略です。米や木材、エネルギー、鉱物資源、水などの価格競争力を見直し、攻めの姿勢で新たな需要を創出していくというものです。この中には、未利用木材資源の有効活用、再生可能な木材資源のバイオマス利用、木材多用住宅の再評価、輸入材から国産材への代替促進などがあります。エネルギー自給率の向上のために太陽光発電の導入量を20年までに現在の約10倍にすることも示されています。

4つ目は「国民生活のための規制改革戦略」で、在宅医療支援などの医療・健康分野などでのやさしい基準づくりなどを進めます。また、基準や標準がないために掃除ロボットはエレベーターに乗れないとか、古い民家を増改築しようとすると建築基準法で既存不適格となってしまうなどの事例があります。金具を使わない木造建築技術に対するルール作り、規制改革などを進めていくというものです。

5つ目は「新需要創出を支える交通、地域コミュニティ、人財インフラ」で、リニアモーターカーの早期実現や挑戦するベンチャー・コミュニティ、二地域居住の魅力づくりなどがあります。

「戦略」は出来るだけ柔軟な頭で日本の強みや活力を引き出して、経済の活性化、地域活性化につなげましょうということでまとめました。提言というよりも政策に直結する中身が網羅されています。