衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
掲載 : 「諸君!」2001年6月号
2001.06.01

「四騎の会」は何を考えているか - 4

派閥の論理で動いていてはお先真っ暗。政治家は今こそ、将来のビジョンを国民に示せ!

ただちに不良債権処理を

塩崎:

さきほど政治家にはスピードが必要だと言いましたが、過去の失敗も、すぐに認めるようにしないと、傷が深くなってしまう。その典型的な例が、この「失われた10年」です。90年代はずっと不況が続いていたけれど、その原因が不良債権問題にあり、それまでの政策には間違いもあったということを認めたのは、ようやく98年の金融国会のときでした。

石原:

そのときに、われわれが中心となって「土地債権流動化トータルプラン」と「金融再生トータルプラン」を作った。

根本:

さらに、銀行への60兆円の公的資金投入を認めた「金融機能早期健全化緊急措置法」や、破綻処理の手続きを定めた「金融機能再生緊急措置法」を成立させて、不良債権処理の政策体系を、8割方作り上げました。

塩崎:

ただ、銀行に対する資本注入のやり方を少し間違えたことも事実です。あの時点で、貸出先の企業がどれだけだめになっているか、つまり銀行の資産がどれだけ劣化しているかを明らかにすべきだったんですが、それをしたらパニックになるといって、早期健全化法で優良行というフィクションを作り上げ資本注入するにとどめた。でもそれは、元気な人にもっと元気になりますよとドリンク剤を飲ませただけで、経営者の責任も問えなかったし、不良債権の規模を甘く見ていたわけです。

石原:

世間の目も、公的資本注入に集まったため、不良債権処理という本質が見失われ、問題が金融界の再編に矮小化されてしまった。

塩崎:

しかもその後は、財政出動による景気回復策が優先されるようになる。3年間で110兆から120兆円ぐらい借金をしたんですね。小渕前総理は「世界一の借金王」なんて開き直る始末でした。

根本:

ケインズ型の財政出動を支持する人たちは、3年前の消費税率アップが不況の原因だと言っていますが、値上げの3カ月後には消費は回復している。原因はあくまで不良債権なんです。そして金融不況。

渡辺:

不良債権というガン細胞は外科手術で取り除くしかないのに、資本注入という麻酔や財政出動というカンフル剤を打つだけだった。日銀は、デフレを押さえるために、とうとう通貨の量的緩和という輸血まで始めましたが、肝心の手術には相変わらず手をつけない。おまけに、国債の格下げというカンフル剤の副作用まで出始めています。

根本:

不良債権の処理には、もはや一刻の猶予も許されない状況です。直接償却によって土地を大量に処分すれば資産デフレがおこる、としてためらっているのなら、銀行から不動産担保付債権を買い上げることで土地を流動化させればいい。石原さんと僕の名前で「週刊文春」4月12日号に発表した「日本経済サバイバルプラン」の要点の1つはここにあります。3年もすれば資本市場全体が回転し始めると思います。大事なのは、産業の再生、雇用の創出・流動化、金融緩和。政策をパッケージとしてやることによって経済はよみがえる。