衆議院議員 福島2区(郡山市、二本松市、本宮市、大玉村
掲載 : 「諸君!」2001年6月号
2001.06.01

「四騎の会」は何を考えているか - 2

派閥の論理で動いていてはお先真っ暗。政治家は今こそ、将来のビジョンを国民に示せ!

派閥にしがみつく執行部

塩崎:

この日の両院議員総会が、今の自民党を覆っている息苦しい雰囲気を象徴していましたね。

渡辺:

森さんの後継総裁の任期と総裁選の方式について、河野太郎さんが動議を提出して、私が賛成意見を述べました。

新総裁の任期は、森さんの任期である9月までではなく、本格政権たりうる任期にすべきだということを主張しました。次の参院選は自民党にとって天下分け目の関ヶ原の決戦にあたるのに、9月までの暫定大将で臨むなんて、合戦の前に敗北を認めるようなものだからです。

また総裁選については、執行部の案が国会議員票346に対し地方票が各都道府県につき3票で計141票。これを衆院の小選挙区につき1票、すなわち300票とするよう訴えました。

いまの自民党が国民からソッポを向かれているのは、森さんが総裁に選ばれて以来、派閥の論理だけで動いているからです。今回も、国会議員の票だけで選べば、当然最大派閥の推す候補が当選しますが、この期におよんで派閥の論理を押し通そうというのでは、国民の信頼を失っている現状への自覚と反省が全くない。自民党の危機に際しては、地方の意見も取り入れるべきだと思ったわけです。

塩崎:

最近、党政治制度改革本部の幹事会で、総裁選挙の新規定の骨子をまとめましたが、実はそこで、地方票と国会議員票の数を近づけるという方針は決まっていたんです。べつに9月の総裁選を待たず、今回から適用してもいいわけですが、立候補に必要な推薦人の数を30から20に引き下げるのは認められたのに、こっちはダメだった。

石原:

動議に賛成した人の方が多かったんですが、まだ時間があるのに発言が許されなかった。

根本:

僕が衆院に初当選したときは、自民党が野党に転落する寸前だった。だからすごく危機感があって、両院議員総会でも若手がどんどん手を挙げて喋ることができたし、それで執行部の案をひっくり返すことができたんです。それに比べると、今回の両院議員総会はね。

石原:

古賀幹事長は、今まで地方票が各都道府県に1票だったのだから、3票になったのは前進だと言っています。しかしその裏には、まあ3票くらいなら、議員票をきちんと押さえれば勝てるだろうという意識が透けて見えるんですよ。

渡辺:

こういう、派閥システムを温存しようというやり方では、自民党に未来がないということに気づいていない。

塩崎:

さすがに今回は、鉄の結束を誇り、しかも派閥システムの元祖ともいえる橋本派の中から、派閥の決定に縛られない選挙を主張する動きが出てきた。その事実を執行部はもっと深刻に受け止めるべきです。

根本:

ただ僕は、派閥というものを単純に否定しようとは思わないんですよ。政策集団という側面もあるし、各派閥に総裁候補とそれをもり立てる人たちがいて、切磋琢磨すれば党の活力にもなる。それに、こういう大きな集団なのに人事課がないわけだから、グループ内でメンバーを選んで人事を調整することには意味があると思います。もちろん、それが行き過ぎて締め付けになってしまうと、派閥は解消すべきだということになります。

塩崎:

野党を経験したあと、一応人事委員会を作ったんですが、結局ここ2、3年で派閥が堂々と復活してしまった。かつては、現職の大臣は派閥の集会には出席しなかったのに、今は当たり前のように座っているし、人事は、派閥代表が集まって談合するポスト分捕り合戦です。面白いことに、無派閥の人にも、ちゃんと幹事長室に無派閥担当がいて、希望を聞いてくれるんですよ。

渡辺:

派閥システムの本質は、競争回避、摩擦回避のメカニズムです。誰でも派閥に滅私奉公さえしていれば、年功を重ねることで出世できる。5回生で大臣だから、重役会に入るのに早い人で13年、遅い人でも16年。そして、重役会に2、3回入るうちに勤続25年を迎えて、派閥の親分になれるかどうかがわかってくる。YKKでも派閥の親分になるまで、28年かかった。森さんは30年、小渕さんは33年。つまり、政治家としての賞味期限が切れた人しか、総理総裁にはなれないわけです。こんなシステムでは、変化の激しい時代に対応できるダイナミックな発想は生まれません。それなのに、まだ惰性で派閥システムにしがみつく人が多い。

根本:

それに加えて、小選挙区の導入で、執行部とくに公認権を握る幹事長の力が強くなりました。「加藤の乱」の時に、その影響は如実に現われましたね。

石原:

ただ、権力を持っていても、行使する執行部と行使しない執行部があるでしょう。

塩崎:

そういえば森さんは、幹事長としては強固ではなかった。

石原:

98年の金融国会のころ、執行部から「朝まで生テレビ」に出てはいけないというお達しがあったけれど、森さんは「喜美君はまあテレビでのパフォーマンスもうまいから、行っていいよ」なんて言っていた。あのころはまだ寛容さがあったけれど、今の執行部は、脅し、すかし、怖い顔と三拍子そろって(笑)、権力を行使するんですよ。

塩崎:

今度の総裁選挙でも、テレビに出るには選挙管理委員会の許可を受けろというお達しが来た。

石原:

そんな言論統制をやってはいけませんよ。党の姿勢が内向きであることが見え見えじゃないですか。

渡辺:

せっかく党の現状と将来について危機意識をもったとしても、派閥と執行部の両方から圧力をかけられるものだから、物が言えない。まさに恐怖政治です。

根本:

でも古賀さんの仕事ぶりを見ていると、そこまで言うのは。